テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

「私たちが結婚できると確信できるまでは待つけれど、晴れて祝言を挙げた暁には、もう待たない。そのときには、そなたがどれだけ拒もうとも、その身体も心も私のものにする。それで良いか?」
 引き返すなら、今だぞ。彼の瞳がそう告げている。明姫は婉然と微笑んだ。
「判った。祝言を挙げたら、そのときは、もちろん何も言わずにユンのものになるわ」
 その言葉に安心したのか、ユンの全身から漂っていた切迫した気配は完全に消えた。
「ところで、書物の表紙はどうなった?」
 突如として話題が変わり、明姫はユンを茫然として見つめた。
「表紙? 書物?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ