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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 先王はあまり子宝に恵まれたとはいえない。王妃の他にもたくさんの側室を持ちながら、生まれたのは二人の王子と三人の王女だった。しかも、その中の三人は生後一年に満たない間に早世している。結局、育ったのは王子と王女が一人ずつだったが、側室が生んだ第三王女も十三歳で二年前に亡くなった。
 亡くなった王女の異母兄である現国王は、このたった一人の妹を可愛がっていた。自分が父代わりとなるのだと言い、自ら嫁ぎ先を探して、この者であればと前途有望な両班の子弟を妹婿に決めたほどであった。
 婚約も済ませ、後は王女の成長を待って降嫁の日を数えるばかりであったある日、十三歳の王女は病を得て亡くなった。亡くなる前日まで嘘のように元気であったのが、食事後、急に苦しみだし、数時間で息を引き取ったのだ。

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