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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 そのあまりに不審な死に方に、後宮はおろか宮殿中が騒然とした。そして、囁かれたのが
―和平翁主(ファピョン)さまの死は、大妃さまの差し金ではないか。
 というものだった。実は、先代の王の御子たちが次々と儚くなったのも、すべては大妃の仕業だと言う者も少なくはなかったのである。
 大妃にとって、己れが生んだ世子以外の王子王女はすべて目障りな存在にすぎない。そもそも世子は第二王子であり、生後まもなく亡くなった第一王子たる異母兄がいた。
 が、年子で生まれた一つ違いの異母兄が生きていたとしても、大妃の生んだ第二王子が世子になるのは明白だったのだ。力のない家門出身の側室の生んだ庶子など、正妃の生んだ唯一の嫡子である第二王子の敵ではなかった。

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