身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り
崔尚宮は墨絵の蓮が描かれた屏風を背にして、座椅子(ポリヨ)に座っている。尚宮たちもまた共通の制服が支給されるが、同じ尚宮でも位階が上と下では色が違う。その色の違いで下働きでも、上職の尚宮かどうか見分けがつくのである。
崔尚宮は上職ではないから、上衣の色は鶯色だ。ちなみに上職の尚宮は淡い紫を纏うのが通例となっていた。
「お呼びと聞きましたが、何かご用でしょうか」
元々はお転婆な明姫だが、流石に九年の後宮生活でひととおりの礼儀作法は身につけたし、猫を被ることも憶えた。宮中では立ち回りがある程度上手くなければ、生きてはゆけない。尚宮に命じられたことにおいても、一を聞いて十を知らなければ務まらない。
崔尚宮は上職ではないから、上衣の色は鶯色だ。ちなみに上職の尚宮は淡い紫を纏うのが通例となっていた。
「お呼びと聞きましたが、何かご用でしょうか」
元々はお転婆な明姫だが、流石に九年の後宮生活でひととおりの礼儀作法は身につけたし、猫を被ることも憶えた。宮中では立ち回りがある程度上手くなければ、生きてはゆけない。尚宮に命じられたことにおいても、一を聞いて十を知らなければ務まらない。