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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り

「尚宮さま、このお衣装は」
 若い娘なら誰でも一度は身に纏いたいと思うような華やかな逸品だ。明姫にもひとめで仕立ても上等で、しかも極上の絹が使われていると知れた。
 だが、一生涯、後宮で女官として過ごす明姫には縁のない代物でもある。何故、このようなものを自分に見せるのか、明姫は崔尚宮の意図を計りかねた。
 明姫の思惑を見透かしたかのように、崔尚宮は微笑む。
「さる方より、そなたに手渡して欲しいと頼まれたものだ」
「さる方?」
 こんな華やかで美しい衣装を贈ってくるような相手は思い浮かばない。記憶を手繰り寄せてみても、思いつかなかった。

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