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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り

「明姫」
 再び呼ばれ、肩を掴まれた。
「放して」
 明姫は泣きながら叫んだ。それでも、ユンは泣きじゃくる明姫を抱きしめてくる。
「済まぬ、許してくれ」
 逞しい腕の中に明姫を閉じ込め、ユンは言った。王衣を纏っている彼の姿を見ていなければ、まだ彼が国王だという現実を信じられないだろう。こうして抱きしめられ彼の声だけを聞いていたら、先刻見たばかりの彼の姿は幻だったのだと、悪い夢を見たのだと思ってしまいそうになる。

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