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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り

 生まれたときから将来は王妃となるべく大切に育てられお妃教育を受けてきた令嬢と、既に実家は絶えたに久しい後ろ盾もない自分。比べること自体がおこがましい。そんな自分が王妃さまに嫉妬するなんて、とんだお笑いぐさではないか。
 自己憐憫に浸るなんて、おかしいと思いながらも、明姫は泣くのを止められない。自分があまりにも惨めで憐れだった。
 とうとう一歩も走れないというまで走って、明姫はその場にくずおれた。チマが汚れるのにも頓着せず、ぺたんと座り両手で顔を覆って泣いた。
「明姫」
 ふいに背後から名を呼ばれた。大好きなユンの声。でも、振り向いてなんかあげない。

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