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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り

 クヒャンの見たものは後に明姫の辿る運命と哀しいほどに一致するのだ。
 明姫の記憶は彼と過ごした一瞬一瞬へと還ってゆく。
 彼はこうも言った。
―そなた一人を一生涯かけて守り、愛し抜くよ。
「あの言葉は、全部嘘だったのね」
 思い出すと、不覚にもまた涙が湧いてくる。
「ユンには奥さんがいたのに」
 彼が国王だと判った今、本当は敬語で接するべきなのだろうけれど、衝撃が大きすぎて行動が現実についてゆけないでいる。
「あんなに綺麗な奥さんがいるのに、私をお嫁さんにするだとか、私一人を愛し抜くだとか、できもしないことを並べ立てて」

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