身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い
男の手が明姫の髪に触れたのはあまりに一瞬のことだっため、明姫は声を出す暇もなかった。
「ほら、こうすれば、花も歓ぶ」
男の声が存外に近くに聞こえ、明姫は狼狽えて顔を上げた。
「あ―」
そっと今し方、彼に触れられた箇所に触ると、やわらかな花の感触が確かにある。男は落ちた花を拾い、明姫の髪に飾ったのだ。
「心優しいそなたには、愛らしい桜草がよく似合う」
明姫の頬が染まった。こういう褒め言葉にまったく不慣れなのだ。
「ほら、こうすれば、花も歓ぶ」
男の声が存外に近くに聞こえ、明姫は狼狽えて顔を上げた。
「あ―」
そっと今し方、彼に触れられた箇所に触ると、やわらかな花の感触が確かにある。男は落ちた花を拾い、明姫の髪に飾ったのだ。
「心優しいそなたには、愛らしい桜草がよく似合う」
明姫の頬が染まった。こういう褒め言葉にまったく不慣れなのだ。