身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い
「なるほど」
男は感心したように言った。
「でも、花の取れてしまったものは、これはどうしようもないわね」
明姫は、花の落ちたものを残念そうに見つめた。可哀想だが、この何本かは棄てなければならないだろう。
と、何を思ったか、男がしゃがみ込んで、足許に落ちていた花を拾い上げた。次の瞬間、男はスと手を伸ばして明姫の艶やかな漆黒の髪に触れた。成人前の明姫はまだ長い髪を一つに編んで垂らしている。女官は皆、同じお仕着せを着ることになっているが、飾りもない簡素なチマチョゴリで、髪型も編んだ髪が邪魔にならないようにくるっと纏めて髪飾りを結んだだけである。
男は感心したように言った。
「でも、花の取れてしまったものは、これはどうしようもないわね」
明姫は、花の落ちたものを残念そうに見つめた。可哀想だが、この何本かは棄てなければならないだろう。
と、何を思ったか、男がしゃがみ込んで、足許に落ちていた花を拾い上げた。次の瞬間、男はスと手を伸ばして明姫の艶やかな漆黒の髪に触れた。成人前の明姫はまだ長い髪を一つに編んで垂らしている。女官は皆、同じお仕着せを着ることになっているが、飾りもない簡素なチマチョゴリで、髪型も編んだ髪が邪魔にならないようにくるっと纏めて髪飾りを結んだだけである。