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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り

 生まれながらに王となるべく生まれたユン、彼は若くしてその肩に重すぎるものを背負った。まだ遊びたい盛りの歳で王となり、この国の未来をその細い肩に背負わされたのだ。
 それでも、ユンはその運命から逃れようとはしない。強く、どこまでも前向きに運命を受け容れて自らに課せられた責任を全力で果たそうとしている。
 だけど、そんな彼の生き方を理解はできても、私は受け容れられない。私は王妃になるべく育てられたわけではないのだから。
 明姫はユンの腕を振りほどいた。
「さようなら」
 ユンの顔を見ないで別離の言葉を告げた。大好きな彼の顔を見たら、また心が揺れて〝さよなら〟が言えなくなる。

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