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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り

 訳もなくその床にできた格子模様を指でなぞっていると、廊下の向こう側から秘めやかな声が聞こえた。
「明姫、起きているのか?」
 崔尚宮の声である。明姫は慌てて居住まいを正した。乱れた髪を手でささっと直す。
「はい」
 応えると、ほどなく扉が開き崔尚宮が入ってきた。
「一刻ほど前に覗いたら、よく眠っているようだったから」
 また出直してきたということだろう。
「申し訳ありません」
 慇懃に頭を下げると、崔尚宮が溜息をついた。

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