テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い 

「それでは、これで」
 男は人懐っこい笑みを浮かべると、まだ頬を染めている明姫を残し、去っていった。桜草が入っている籠を後生大切そうに抱えて。
 一体、あの花籠を贈るのは、どんな女性?
 きっと、自分のように身寄りもない、実家が絶えたも同然の娘ではなく、きちんとした両班家の娘に違いない。また明姫の胸がツキリと痛んだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ