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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第5章 第一話【桜草】 別離という選択

 そんなある日のこと、崔家を訪れた一人の青年がいた。もちろん占って貰おうと門前に居並んでいた客の一人であったのだが、いざその若者の順番が来て室内に通された途端、クヒャンは絶句した。
「あなたは―鳳凰の君じゃないの」
 彼女の眼の前では、ユンが相変わらず涼しげな微笑を浮かべている。どうやら一年経っても、この青年の美貌はいささかも変わっていないらしい。
 今日はこの季節に萌える若葉を彷彿とさせる品の良い緑のパジチョゴリだ。まったく憎らしいほど様になっている。

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