身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第5章 第一話【桜草】 別離という選択
「お久しぶりです、お祖母さま」
ユンは初めてきたときと同様に、恭しく拝礼を行った。
明姫は後宮を辞した本当の理由を祖母に告げていない。女官仕事もそろそろ辞める潮時だと思ったから―と適当な言い訳をしていた。そういうところを深く詮索しないのもまた、クヒャンの良いところである。
クヒャンは小さく肩を竦めた。
「まあ、いつかは来るだろうとは思っていたけれど、随分と時間がかかったのね。愚図愚図していると、うちの可愛い孫娘はよその男に攫われてしまいますよ。あれで、結構、縁談の話が来ているのです」
ユンは初めてきたときと同様に、恭しく拝礼を行った。
明姫は後宮を辞した本当の理由を祖母に告げていない。女官仕事もそろそろ辞める潮時だと思ったから―と適当な言い訳をしていた。そういうところを深く詮索しないのもまた、クヒャンの良いところである。
クヒャンは小さく肩を竦めた。
「まあ、いつかは来るだろうとは思っていたけれど、随分と時間がかかったのね。愚図愚図していると、うちの可愛い孫娘はよその男に攫われてしまいますよ。あれで、結構、縁談の話が来ているのです」