身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第5章 第一話【桜草】 別離という選択
大作ばかりでは時間も手間もかかるので、今は手巾(ハンカチ)や髪飾り(リボン)に小さな刺繍を入れる作業をやっているところだ。丁度季節も合っているので、大好きな桜草をモチーフにして刺している。こういう小物は若い娘たちに人気があるとのことで、高値では売れないが、これはこれでまた売れ行きが良いらしい。
需要に作るのが追いつかないほど好評なので、いつ行っても店の主人は愛想が良い。
「そんなに見つめていては、桜草に穴が空いてしまうよ?」
唐突に背後で声がしたので、明姫はキャッと小さな悲鳴を上げて飛び上がった。
需要に作るのが追いつかないほど好評なので、いつ行っても店の主人は愛想が良い。
「そんなに見つめていては、桜草に穴が空いてしまうよ?」
唐突に背後で声がしたので、明姫はキャッと小さな悲鳴を上げて飛び上がった。