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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第5章 第一話【桜草】 別離という選択

「あ、あなた」
 明姫は愕きのあまり、心臓が止まるのではないかと思った。一面に咲く桜草を背景に、ユンが立っている。そう、丁度一年前、宮殿の庭園で彼と初めて出逢ったときのように。
 あの時、彼は腕一杯の桜草を抱えていた。
「お祖母さまは、そなたがまるで愛しい恋人を見つめるように熱心に桜草ばかり見ているとおっしゃっていたが、なるほど、確かに、お祖母さまの言うとおりのようだ」
 ユンが笑いながら近づいてくる。
「幾ら相手が花だといっても、少し妬けるな。桜草が羨ましいよ」

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