身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第5章 第一話【桜草】 別離という選択
「そんなのは大間違いだ。そなたが突然宮殿から姿を消して、私がどれだけ落胆したか、そなたには判らないだろう。まるで別れを告げるように、そなたの部屋には私が贈った服が置き去りにされていた。そなたは、とうとう私の心を受け取ってはくれなかった、私の真心を置いたまま、宮殿を去っていったのだと思うと、絶望と哀しみで胸が張り裂けそうだったんだぞ」
二人の傍を春の風が通り過ぎた。気まぐれな風は一面の桜草を揺らす。
「そこまで自分は明姫に嫌われてしまったのかと随分と落ち込んだ」
ユンの呟きが春の風に運ばれて空へと消えていった。
二人の傍を春の風が通り過ぎた。気まぐれな風は一面の桜草を揺らす。
「そこまで自分は明姫に嫌われてしまったのかと随分と落ち込んだ」
ユンの呟きが春の風に運ばれて空へと消えていった。