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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第5章 第一話【桜草】 別離という選択

 ユンが眼を細め、また明姫の髪を撫で始めた。何故かユンはしばしば、明姫をこんな眼で見つめる。以前から気づいてはいたけれど、まるで眩しい太陽でも見るときのように眼を細めるのだ。
 しかし、今のユンは明姫の想いとはまったく異なることを口にした。
「そなたの素性を私は知っている」
「―」
 刹那、明姫の思考は現実に引き戻された。
「ご存じだったのですか?」
 ああ、と、ユンが頷いた。
 その間もユンの手は動きを止めない。髪のから次第にゆっくりと下降し、咽、鎖骨を指でつうっとなぞり、ついには豊かな胸の突起に辿り着いた。

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