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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第5章 第一話【桜草】 別離という選択

「止めてください。国王さまがそのように何度も頭を下げてはいけません」
 瞳を潤ませて言う明姫に、ユンは微笑む。
「国王であろうと、自分が正しくないと自覚したときは潔く謝らねばならない。それは男としてというよりは人間として当たり前のことだ」
 この男は何というひとなのだろう。国王という至高の立場にありながら、自らの非を潔く認め、自分などのような者にも躊躇いなく頭を下げて謝罪する。
 もしかしたら、自分が愛した彼こそがこの国に光をもたらす聖君と呼ばれる人なのかもしれない。この時、明姫ははっきりと思った。

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