テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第6章 第二話 【桔梗の涙】 予知夢

 すべてを知っても、明姫の心は変わらなかった。むしろ、こんな一介の女官にすぎない自分が国王である彼の側にいても良いのか。そのことで悩んだのだ。
 ひとたびは後宮を去り、ユンとの別れを覚悟した明姫であったが、一年後、ユン自身が明姫が身を寄せていた崔氏の屋敷にまで迎えにきた。二人は晴れて結ばれ、明姫は後日正式に迎えにきた王の使者に囲まれ、立派な女輿に乗り宮殿に戻った。
「可哀想に、幼いそなたにはよほど辛く哀しい体験だったのだろう」
 ユンが小さく首を振り、両手をひろげた。少し躊躇う素振りを見せ、明姫がユンのひろげた腕の中に身を委ねる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ