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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第6章 第二話 【桔梗の涙】 予知夢

 現国王直宗はあろうことか、その左議政の甥に当たる。左議政は大勢の人を殺してものうのうと生き長らえ、今は位人臣を極めて領議政(ヨンイジョン)にまで上っていた。直宗の母、大妃(テービ)は領議政の同母妹に当たるのだ。更に、直宗の正室、中殿(チュンジョン)は領議政の娘である。まさに若き国王は領議政とは深い繋がりがあると言わざるを得なかった。
 自分が明姫の両親や弟を殺した領議政の血縁である―、直宗自身はそのことをとても済まなく思っているようだが、事件の起きた当時、まだ世子(セジヤ)であった直宗も幼い少年にすぎなかった。そんな彼に何ができただろう? ゆえに、明姫に直宗を恨む気持ちなど欠片(かけら)ほどもない。

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