身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第6章 第二話 【桔梗の涙】 予知夢
「そう」
あの夢、十年前に家族や屋敷を丸ごと飲み込んだ紅蓮の焔。明姫はこの十年間、定期的にあの夢を見てはうなされてきた。
もちろん、明姫が副官の娘であるというのは秘密だから、ヒャンダンにも詳しい事情は告げていない。しかし、時折、燃え盛る焔の夢に責めさいなまれるのだということは、女官であった頃にヒャンダンには打ち明けていた。
「お労しい」
ヒャンダンがゆっくりと首を振るのに、明姫はわざと明るい声音で言った。
「心配してくれて、ありがとう」
あの夢、十年前に家族や屋敷を丸ごと飲み込んだ紅蓮の焔。明姫はこの十年間、定期的にあの夢を見てはうなされてきた。
もちろん、明姫が副官の娘であるというのは秘密だから、ヒャンダンにも詳しい事情は告げていない。しかし、時折、燃え盛る焔の夢に責めさいなまれるのだということは、女官であった頃にヒャンダンには打ち明けていた。
「お労しい」
ヒャンダンがゆっくりと首を振るのに、明姫はわざと明るい声音で言った。
「心配してくれて、ありがとう」