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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第6章 第二話 【桔梗の涙】 予知夢

 が、周囲の者がそれでは済まさない。
―畏れ多くも、国王さまから賜った花を粗略に扱った不届き者。
 と、非難を明姫が受けることになる。それが、宮廷もしくは後宮の怖いところであった。また、ユンの国王という立場の難しさでもあったのだ。
 幸いにも、この件はヒャンダンの機転で極秘裏に処理したお陰で、表沙汰になることはなかった。ユンがヒャンダンを明姫の側近に指名したのは正しい判断だったといえよう。
 無残に色褪せ花びらを散らした百合や桔梗を眺めながら、明姫はたった今、ヒャンダンが紅を塗ってくれたばかりの桜色の可憐な唇を戦慄(わなな)かせた。

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