テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第6章 第二話 【桔梗の涙】 予知夢

 ヒャンダンが花を棄てて女主人の居室に入ろうとしたまさにその瞬間、廊下の曲がり角から女官が現れた。
「洪女官さま、どうかなさったのですか?」
 その女官は下級の者だが、つい最近、見習いから昇格したばかりである。もう二十歳にはなっているであろうのに、その歳で見習いから昇格というのもおかしな話ではあった。
 よほど鈍重な使えない者でない限り、そこまで昇格が遅れることはないのだ。しかし、大妃殿からの強い推薦があると聞き、その者をこの殿舎で使わないとは到底言えなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ