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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第8章 第二話 【桔梗の涙】 陰謀  

 大体、生まれてからの十六年間、そこまでの憎悪を他人から向けられたことはない。幼くして陰謀のため両親を失いはしたものの、明姫の側には祖母や伯母、守ってくれる人が常にいた。
 今こそ、明姫は大妃の怖ろしさと自分に向けられた憎悪の大きさを思い知らされたのだった。
 庭へと降り立つと、さっと監察部の女官たちが近寄ってくる。いずれも楊尚宮の部下として数々の事件に当たってきたやり手女官たちばかりであった。
 数人の女官たちに脇を囲まれ、明姫は楊尚宮に促され歩き出した。

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