テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第8章 第二話 【桔梗の涙】 陰謀  

「このお方をどなたと心得る。国王殿下のご寵愛を一身にお受けになるご側室ですよ。このような勝手な真似をして、殿下がお知りになれば、ただで済むとお思いか?」
 ヒャンダンが悲鳴のような声で叫ぶ。悲痛な声がしんと静まった空間に響いた。
 明姫はそっと背後を振り返った。ヒャンダンは眼に涙を浮かべていた。
「淑媛さま―」
「良いのです」
 明姫は薄く微笑み、ヒャンダンに諭すように言った。
「私は何もしておらぬ。優秀な監察部のことゆえ、きっと嫌疑はすぐに晴れるでしょう」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ