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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第8章 第二話 【桔梗の涙】 陰謀  

 彼女たちの想いに応えるためにも、自分は死なない。必ず疑いを晴らして、ここに戻ってくるのだと固く誓う。
 余計に見苦しい姿は見せられない。明姫は毅然と頭を上げた。真っすぐ前を見つめて、迷いのない足取りで歩いていく。その凛然ととした様子は、到底、昨日今日、側室となったばかりの十六歳の少女とは思えない存在感があった。
 さながら凜として咲き誇る一輪の気高い花。後に楊尚宮は勇退して後宮を下がってから、後宮時代のことを振り返った日記を残している。その中に〝泥中一輪花在(泥ノ中ニ一輪ノ花アリ)〟と形容したほどであった。まさに、権謀術数渦巻く後宮にあって、浄らかに開く花といえた。

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