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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第8章 第二話 【桔梗の涙】 陰謀  

「私はこれまでにも幾多の事件に当たりました。それらを扱った上での勘ですが、本当の犯人というものは、これほどにできすぎた証拠など残さないものです。もっと上手に立ち回るというか、証拠や痕跡などできるだけ残さないように行動するのが常です。しかし、今回はまるで、証拠を見つけて欲しい、捕らえて欲しいとでも言いたげに痕跡をこれ見よがしに残している。それだけでも、これが仕組まれたものだという予測は容易につきます」
「―」
 明姫はかすかな期待を込めて監察部のベテラン尚宮を見つめる。だが、返ってきたのは、やはり彼女が想像していたとおりのものだった。

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