テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第8章 第二話 【桔梗の涙】 陰謀  

 成女官の実家は零落した両班家ということになっている。事実、その届け出に間違いはなかったのだが―。
「その長らく逼塞していた実家が最近、妙に羽振りが良いとの話でした」
 楊尚宮と明姫は思わず顔を見合わせた。
「数ヶ月前くらいから、荒れ放題であった屋敷も手直しがされ、暮らし向きも見違えるように豪勢になったと」
 しかも、成女官には八つ違いの兄がいて、これは科挙に何度挑戦しても不合格、仕官の口もないままに歳だけを重ねていたのに、突如として漢城府の下級役人ではあるが仕官が叶ったという。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ