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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第8章 第二話 【桔梗の涙】 陰謀  

 更に病気で寝たきりの母親には名医といわれる医者が定期的に往診に来始めたので、近隣の人々は一体、何があったのかと眼をそばだてていたというのだ。
「娘が一人いたから、どこか金持ちの家の妾にでも囲われたのかもしれないなどとまで噂していたようです」
「そう―」
 明姫は呟いた。これですべてが符合した。恐らく成女官は親の治療費と兄の仕官を餌に釣られ、怖ろしい謀に荷担したのだ。
 二十歳という歳で見習い女官から一人前になった、つまり昇格が遅かったのも納得できる。大抵は見習いから昇格する女官は、幼くして入宮した者が多い。

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