身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第9章 第二話 【桔梗の涙】 対決
部屋の隅で畏まっていた黄内官が笑った。
「殿下、何か愉しいことをお考えなので?」
そこで、彼は自分が一人でにやけていたのを自覚した。わざとらしい咳払いをし、鹿爪らしい顔をこしらえる。
「いや、別に」
ユンは素っ気ない口調で言い、最後の書状に玉爾を捺した。
蜜色の夕陽が執務室の丸窓を通して室内にまで差し込んでいる。窓に填った格子模様をそのまま床に描いているのに興を誘われ、つい見つめていた。
「夕餉までには、まだ時間があるな、黄内官」
独り言のように呟くと、すぐにいらえが返ってくる。
「殿下、何か愉しいことをお考えなので?」
そこで、彼は自分が一人でにやけていたのを自覚した。わざとらしい咳払いをし、鹿爪らしい顔をこしらえる。
「いや、別に」
ユンは素っ気ない口調で言い、最後の書状に玉爾を捺した。
蜜色の夕陽が執務室の丸窓を通して室内にまで差し込んでいる。窓に填った格子模様をそのまま床に描いているのに興を誘われ、つい見つめていた。
「夕餉までには、まだ時間があるな、黄内官」
独り言のように呟くと、すぐにいらえが返ってくる。