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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い 

 が、安値とはいえ、このような市井の露店で売っている装飾品としては、けして安い方ではない。明姫は慌てた。
「いけません、見ず知らずの方から装飾品を買っていただくことはできませんから」
 男は二人の店主に過分の金を渡し、〝つりは要らぬ〟と鷹揚に言っている。見れば、今日は官服ではなく、浅黄色のパジチョゴリを身につけているが、その光沢のある生地は紛れもなく清国渡りの最高級の絹だろう。
 やはり、領議政の甥の友人というのは真実なのだ。彼自身も相当の上級両班の息子に違いない。

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