身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第9章 第二話 【桔梗の涙】 対決
「監察部は一体何をしていたのだ!」
ユンは歯がみした。今回の中殿暗殺未遂のすべての鍵を握るのは、この女官に相違ない。この女官が大妃の意を受け、明姫を陥れるために画策したのは判っている。
その肝心の女官が死んだとなれば、もう明姫の無実を晴らせる者はいない。死人に口なしという諺がふっとユンの脳裏を掠めた。
「母上はどこまで手を血に染めれば気が済まれるのだ」
かつて彼が幼かった世子時代、姉のように慕っていた孔淑媛は父である先王の寵妃だった。その孔淑媛を大妃はとことんまで追いつめ、自害させた。
ユンは歯がみした。今回の中殿暗殺未遂のすべての鍵を握るのは、この女官に相違ない。この女官が大妃の意を受け、明姫を陥れるために画策したのは判っている。
その肝心の女官が死んだとなれば、もう明姫の無実を晴らせる者はいない。死人に口なしという諺がふっとユンの脳裏を掠めた。
「母上はどこまで手を血に染めれば気が済まれるのだ」
かつて彼が幼かった世子時代、姉のように慕っていた孔淑媛は父である先王の寵妃だった。その孔淑媛を大妃はとことんまで追いつめ、自害させた。