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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第9章 第二話 【桔梗の涙】 対決

 しっかりとした、どこかに烈しい感情を抑えているような歩き方で、こちらに向かって歩いてくる。
「明姫」
「殿下」
 白いチマチョゴリ姿の明姫を見て、ユンは何かに耐えるような表情になった。
「少し痩せたのではないか? 食事はちゃんと取っているのであろうな」
 心配そうに真顔で問われ、明姫は頷いた。
「大丈夫です。私は食欲旺盛ですから」
「ああ、そうだったな。いつか町の隠れ家で食事をした時、そなたがあまりに大食漢なのを知って正直、愕いた」
 そなたときたら、大きな揚げパンを立て続けに二つも頬張っていた。
 ユンは呟くと、泣き笑いの顔になった。

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