身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第9章 第二話 【桔梗の涙】 対決
「殿下、私は」
明姫が言いかけるのを、ユンは遮った。
「何も申すな。こたびのことを私はそなたが企てたなどとは思ってはいない。そなたが中殿を呪詛したり、あまつさえ毒を飲ませるような卑怯な真似をするはずがない」
違うのです、と明姫は真摯な瞳をユンに向けた。
「確かに私は中殿さまを呪詛もしておりませんし、毒を盛ったりもしておりません。ただ」
と明姫は声を潜めた。
「ただ、私の中に中殿さまを羨ましく思う気持ちがなかったとは言えません」
「―明姫。それはどういう意味だ」
ユンが不安げなまなざしになるのに、明姫は微笑む。
明姫が言いかけるのを、ユンは遮った。
「何も申すな。こたびのことを私はそなたが企てたなどとは思ってはいない。そなたが中殿を呪詛したり、あまつさえ毒を飲ませるような卑怯な真似をするはずがない」
違うのです、と明姫は真摯な瞳をユンに向けた。
「確かに私は中殿さまを呪詛もしておりませんし、毒を盛ったりもしておりません。ただ」
と明姫は声を潜めた。
「ただ、私の中に中殿さまを羨ましく思う気持ちがなかったとは言えません」
「―明姫。それはどういう意味だ」
ユンが不安げなまなざしになるのに、明姫は微笑む。