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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第9章 第二話 【桔梗の涙】 対決

「中殿さまは生まれながらに殿下の妻となることを運命づけられているお方です。でも、私は誰が見ても、殿下にはふさわしくない。力のある家門の娘ではありませんし、女官上がりの平凡な娘にすぎません。私が殿下にふさわしい女であれば、きっと今回のようなことも起こらなかったと思うのです」
 だからと、明姫は哀しげに笑った。
「私は中殿さまを羨ましいと思っていました。いつも殿下のお側に当たり前のようにいることができて、誰もに祝福されて殿下の妻となられた中殿さまを心のどこかで妬ましいと思っていた」
「済まない。私が不甲斐ないばかりに、そなたを辛い目に遭わせた」

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