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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第9章 第二話 【桔梗の涙】 対決

 大妃はゾッとするような声音で言い残すと、踵を返して歩み去った。少し離れた場所で待機していたお付きの尚宮や女官たちが慌てて大妃の後を追う。
 公衆の面前での大妃と国王、更に側室を交えてこの諍いは、後々、後宮はおろか宮殿中にひろまり、噂好きの宮廷雀たちの格好の話の的となった。
「殿下、義禁府の兵士たちも待っております。ここはどうぞひとまず大殿にお戻り下さい」
 見かねた黄内官が近寄り、王に告げた。ユンは我に返り、頷く。
「―判った」
 切なげなまなざしを明姫にくれる。

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