身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス)
思えば、明姫と初めてめぐり逢ったのも、この近くだった。あれは一年半前のことだ。緋色の牡丹が燃えるように咲いていた春たけなわに、彼らは出逢った。腕一杯に桜草を抱えていたユンと書物を運んでいた明姫がまともにぶつかったのだ。
あの時、花が取れたり折れたりした桜草を一本一本拾い集めていた明姫。部屋に戻ってから、水に活けてやれば、まだまだ元気になって眼を楽しませてくれるだろうと明るく微笑んでいた。
あの時、惹かれたのは、けして見かけの可憐さや美しさだけではない。あの心の優しさに真っ先に打たれたのだ。
あの時、花が取れたり折れたりした桜草を一本一本拾い集めていた明姫。部屋に戻ってから、水に活けてやれば、まだまだ元気になって眼を楽しませてくれるだろうと明るく微笑んでいた。
あの時、惹かれたのは、けして見かけの可憐さや美しさだけではない。あの心の優しさに真っ先に打たれたのだ。