テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス) 

 だとすれば、明姫が後宮を下がっている間、大妃の命令とはいえ、二人の側室たちと関係を持ったのは、明姫には耐え難いことだったのかもしれない。ただ慎み深い性格のため、表には出さなかったか、或いはユンを困らせてはならないと黙って耐えていたのだろう。
 いじらしいと思う。自分も生身の女だから、人並みに嫉妬もするのだと言われて、怒るどころか、かえってそこまで惚れられていると思えば嬉しい。そう思うのは、やはり自分が明姫に腑抜けているからだろうか。
 明姫をそこまで哀しませるのであれば、やはり側室たちと関係を持つべきではなかったと今更ながらに後悔もする。その一度の交わりで身籠もった昭容には申し訳ない話だが。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ