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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス) 

 懐妊が判ってからは、時には曺昭容の殿舎を訪れ、健康に良いと侍医から聞いて共に庭園を散策したりもした。
 流石に明姫を側室として宮殿に迎えてから、昭容の許を訪ねる回数は減ったけれど、それでも十日に一度は訪ねていった。
―私も生身の女でございますから。
 義禁府に連行される途中、明姫が放ったひと言はユンとっては意外であった。嫉妬などとはおよそ縁のない女であると思っていたのに、やはり、自分が他の妃たちの許を訪れているのを見るのは辛かったのだろう。

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