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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス) 

 ユンは頷き、布きれで溢れる涙をぬぐった。彼は涙をふくと、その布きれを後生大切な宝物のように袖に入れた。
「そうだ、私も忘れない中に、渡しておこう」
 今度は明姫が愕く番だった。眼を見開いている彼女の前で、ユンがまるで芸人が手妻を披露するかのような手つきで、さっと袖から何かを取り出した。
「―綺麗」
 少しくして、彼の手に握られたのが一輪の桔梗だと判った。

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