
身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス)
「情けない、大の男が惚れた女の前で泣くとは。どうも、そなたには格好良いところを見せようとしても上手くいかないらしいな」
少し戯れ言めいて言ったのは、沈んだ空気をわずかなりとも明るくしたかったから。ユンらしい優しさだった。
明姫は微笑み、自分のチョゴリの袖を少し引き裂いた。
「明姫?」
眼を丸くしているユンに、彼女は布きれを差し出す。
「これをお使い下さいませ。綺麗な手巾(ハンカチ)などありませんので、失礼かとは存じますが」
「ありがとう」
少し戯れ言めいて言ったのは、沈んだ空気をわずかなりとも明るくしたかったから。ユンらしい優しさだった。
明姫は微笑み、自分のチョゴリの袖を少し引き裂いた。
「明姫?」
眼を丸くしているユンに、彼女は布きれを差し出す。
「これをお使い下さいませ。綺麗な手巾(ハンカチ)などありませんので、失礼かとは存じますが」
「ありがとう」
