テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス) 

「こ、これは殿下」
 義禁府長が慌てて立ち上がり、一礼する。
「予の問いに応えよ。誰の命で淑媛を拷問にかけておる」
「はっ、それは」
 義禁府長が慌てて階を降りる。広場に立った王の前で畏まった。
「大妃さまのご命令か?」
「は、はい」
 消え入るような声に、王は一喝した。
「心得違いもはなはだしいッ。そなたは朝廷の臣下か、それとも、大妃さまの使い走りなのか?」
「は、はあ。それはむろん、朝廷の臣下にございます」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ