身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス)
「ならば、国王と大妃さまのいずれの命を重んずべきかは判るな?」
「は、はいっ」
哀れな義禁府長は、息子ほどの若い国王の前で縮み上がっている。その場の皆が固唾を呑んでいた。いつも穏やかで怒りなど露わにしたことのない王が激怒している。
それも火を噴くような怒り方ではなく、全身から蒼白い焔をゆらゆらと立ち上らせているような怒り方だ。その静かな怒りは烈火のごとくの怒りより、見る者に対して更に大きな威圧感を与える。
普段は滅多に吠えない虎が吠えた―そんな感じであった。虎の咆哮は辺りの空気を震わせ、その場にいた皆を芯から震え上がらせるには十分すぎる。
「は、はいっ」
哀れな義禁府長は、息子ほどの若い国王の前で縮み上がっている。その場の皆が固唾を呑んでいた。いつも穏やかで怒りなど露わにしたことのない王が激怒している。
それも火を噴くような怒り方ではなく、全身から蒼白い焔をゆらゆらと立ち上らせているような怒り方だ。その静かな怒りは烈火のごとくの怒りより、見る者に対して更に大きな威圧感を与える。
普段は滅多に吠えない虎が吠えた―そんな感じであった。虎の咆哮は辺りの空気を震わせ、その場にいた皆を芯から震え上がらせるには十分すぎる。