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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと

「本当だぞ。私はこれでもまだ、二十一なのだ。おじちゃんは幾ら何でも酷(ひど)い。せめて、お兄ちゃんと呼んでくれ」
 男は笑いながら子どもを高い高いをするように持ち上げた。
「申し訳ありません、若さま」
 傍らから臈長けた女が淑やかに一礼した。
「気にしないで下さい。マルにとっては、私は親戚の叔父みたいなものなんです。私だって、別に何とも思ってはいないし、むしろ、こうやって、たまに訪れる私にマルが懐いてくれるのが嬉しいんだから」
 女は清潔ではあるが、木綿の粗末なチマチョゴリを纏い、子どもも同様に木綿のパジを着ている。

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