テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離  

「まあ、用心するに越したことはありませぬ」
 領議政は早口で言うだけ言うと、扇を閉じた。パチンと小気味の良い音が聞こえ、彼は扇を懐にしまった。
「それでは、今日はこれで失礼致します」
 扉を開けて出ていこうとした領議政がつと振り返った。 
「大妃さま、焦る必要はありません。金淑媛を宮殿から追い出す機会など、まだこれから幾らでもありますよ。かえって焦りすぎて、今回のように計画そのものが杜撰になっては元も子もありませんからね」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ