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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離  

「まあ、兄上もお人が悪い。淑媛に無事に子を産ませるつもりがないのだと端からおっしゃればよろしいのに」
「まさか、大妃さま。畏れ多くも殿下の伯父であり朝廷の臣たる私がそのような怖ろしいことを考えるはずもありません」
 スと大妃に顔を近づけ、扇で顔を隠しながら小声で言った。
「滅多なことをおっしゃいますな。人払いしてあるとはいえ、尚宮たちの耳もありますぞ」
「まあ、私の身近に仕える者たちは皆、信頼できる者たちばかりです。間違っても、淑媛寄りの者などおりませんから、ご安心あそばせ」
 崔尚宮が明姫の伯母であるとは露も知らない大妃である。

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