身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離
そして、事態は更に思わぬ方へと動いたのだった。明姫の懐妊が公式に発表されて三日が経った。その朝、珍しく王妃が大殿を訪れた。
「殿下、中殿さまがお越しにございます」
黄内官が告げると、ユンは頷いた。
「うむ、通してくれ」
ほどなく両開きの戸が開き、王妃が入ってきた。正妃のみに許された盛装が白皙の美貌によく映えている。王妃が身動きする度に、結い上げた黒髪に挿した数々の簪が涼やかな音を立てた。
「珍しいな、中殿。あなたの方から訪ねてきてくれるとは」
それは率直な感想だった。大体、気位の高い王妃が大殿にやってくるなど、結婚して初めてのことではないか。
「殿下、中殿さまがお越しにございます」
黄内官が告げると、ユンは頷いた。
「うむ、通してくれ」
ほどなく両開きの戸が開き、王妃が入ってきた。正妃のみに許された盛装が白皙の美貌によく映えている。王妃が身動きする度に、結い上げた黒髪に挿した数々の簪が涼やかな音を立てた。
「珍しいな、中殿。あなたの方から訪ねてきてくれるとは」
それは率直な感想だった。大体、気位の高い王妃が大殿にやってくるなど、結婚して初めてのことではないか。