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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと

 いきなり話を振られて、男は愕いたらしい。眼を忙しなくまたたかせている。先刻は、自分が国王の信頼も厚い忠臣と言ったばかりなのに、やはり、あの言葉は適当な出任せか見栄を張ったに過ぎないのだろう。
「あ、ああ。まあ、確かに、そう言えば、そうだな」
 要領の得ない返事を返し、男はソル老人や女に軽く頭を下げた。
「それでは、これで失礼します」
「おじちゃん、今度は早く来てね」
「そうだな」
 男はマルを抱き上げ、頭を撫でてやる。

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